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第8回 桃の節句

カテゴリ : きものの歴史
立春も過ぎ 陽ざしの中に春を感じる頃となりました。
本日は 春の節句「桃の節句」についてお話いたしましょう。

女の子の健やかな成長を祈るおひな祭り、この桃の節句ですが、
もともとは平安時代、3月3日の「上巳の節句」に雛人形が災厄除け、守り雛として祀られていました。
この節句の行事と、この時代の貴族の子女のお人形遊び「雅びな」が江戸時代に結びついたそうです。
旧暦3月3日は桃の花が咲く頃なので「桃の節句」と言われるようになりました。

平安の昔からお雛様は女の子の憧れですね。
綺麗なお雛様の着けているお衣裳は宮中の殿上人の平安装束です。
お雛様とお内裏様のお召し物をご紹介しましょう。


この頃の女性の衣装は、いわゆる十二単(じゅうにひとえ)と呼ばれるおきものですが、
正式には五衣唐衣裳(いつつぎぬからぎぬも)といい、ほんとうに十二枚も重ねて着ていたのではありません。
どういうものを着ていたかといいますと、
1、垂髪(たれがみ)上の写真は大垂髪(おすべらかし)
2、唐衣(からぎぬ)
3、表衣(うわぎ)
4、打衣(うらぎぬ)
5、袿(うちき)数枚重ねる
6、単(ひとえ)
7、打袴(うちばかま)
8、裳(も)
9、裳の小腰(こごし)
10、裳の引腰(ひきごし)
11、檜扇(ひおうぎ)
12、帖紙(たとう)
13、鬢批(びんそぎ)
を着ておりました。


平安時代の公家や官僚婦人(清少納言や紫式部)の式服です。
普段は裳と唐衣は着けていなかったようです。
十二枚は着ておりませんが、現在のきものと比較しますと
たいそうたくさんの衣を着こんでいたようですね。


お雛様の横で凛々しくおられるお内裏様は束帯と呼ばれる平安時代の公家の正装を着ています。

この頃の男性の衣装は衣冠束帯といい以下のようなものを身に着けておりました。
1、冠(かんむり)
  a 巾子(こじ)
  b 笄(こうがい)
  c 額(ひたい)
  d 糸嬰(えい)
2、袍(ほう)
3、指貫(さしきぬ)奴袴(ぬばかま)
4、単(ひとえ)
5、帖紙(たとう)
6、檜扇(ひおうぎ)



正装の束帯に対し、衣冠は平服だったようです。

お雛人形は宮中のお嫁入りの様子を模したお人形で女の子の健やかな成長と
幸せな結婚を願う心が込められたものです。
皇室のご結婚(結婚の儀)では紀子様、雅子様の十二単のお姿がたいへん美しく
その後、タレントや一般の方々も平安装束での結婚式増えましたね。
女のお子様がいらっしゃる方はもちろん、男の子ばかり、大人ばかりのご家庭も
3月3日には美しいお人形を飾られて、平安の雅の世界に思いを馳せられてはいかがでしょう。
2012-02-25 14:53:28

第7回 「お手入れ」

カテゴリ : きものの基本
立春も間近となりました。
今年は長期予報の通り、寒い冬でした。
春が待ちどおしいですね。

お正月、成人式、卒業式、入学式と冬から春は 
きものをお召しになる機会の多い時期です。
大切なきものや帯は、着用後に、簡単なお手入れをすることで
長く美しく、着て頂けます。
第7回では 基本のお手入れのお話をいたしましょう。

「きものや帯のお手入れ」
きもの、帯、長襦袢は 脱いだらすぐにシミや汚れがないかチェックして
和装ハンガーにかけて 2~3日ほど陰干しし、湿気をとります。
和装ハンガーは呉服店で1,000円程でお求め頂けます。

シミや汚れがあれば、汚れの説明(化粧品、飲み物、泥など)を付けて
専門店にお出しください。
自己の処理はシミを広げることがあるのでご注意ください。 
クリニックのページでご案内しております。
帯はほどいてすぐに たたくようにしてシワを伸ばして 陰干しします。

シミがなく、湿気も抜けましたら たたみます。
きものや帯、羽織などには それぞれに適したたたみ方があります。
紋のところは和紙などを当てましょう。

  [本だたみ]
 最も基本となるたたみ方です。
 ほとんどのきものは このたたみ方をします。男物も同じです。
 


   [長襦袢]                        
 長襦袢はたたみじわをあまり気にしなくてよ い分小さくたためます。                            
 [きものの夜着だたみ]  
 留袖のように比翼付きのきもの、 豪華な刺繍や箔を施した振袖など、模様に折り目を 付けたくないものに適します。

   [長襦袢]                                                               [きものの夜着だたみ]  
    



  [羽織]                                                                   
  羽織は 男女、子供すべて同じたたみ方です。             
  [コート]
   ここでは、道行衿コートのたたみ方を紹介します。ほかの形の衿はこれを基本に他の衿形は工夫して下さい。

   [羽織]                                                              [コート]
    
 羽織紐については女性用の組紐は付けたまま、男性用の鐶付きタイプは外しておきます。



  [なごや帯]                                                              
  なごや帯は太鼓と胴の部分の幅が違いますので、厚みが均等になるようにたたむとしわがつきにくくなります。 開き仕立ての場合は袋帯と同様にたたみます。        

  [袋帯]
 袋帯には八つ山たたみや屏風だたみなどの たたみ方があります。  前柄と太鼓柄に折り目を付けないことが最も大切です。

 [なごや帯]                                                         [袋帯]
    



たたんだきものや帯は 畳紙(たとうし)に包んで収納しましょう。
畳紙には厚手の和紙が用いられています。中が見える窓付きが便利です。
畳紙も呉服店でお求め頂けます。
 
防虫剤を入れる場合は化学変化を起こすので一種類にしてください。
金銀箔や金銀糸は防虫剤に反応して変色することがありますのでご注意下さい。


「小物のお手入れ」
帯揚げ
 しばらく陰干しにして湿気を取り 二つ折りにしてしわを伸ばしながら巻いておきます。
帯締め
 房がバラバラになったら 蒸気を当てると戻ります。 
 房を和紙や半紙で巻くときれいに保てます。プラスチックの房カバーを使うと便利です。
半衿
 着用後、はずして浴用せっけんで手洗いし、陰干しします。
 半乾きのときにアイロンを掛けるとシワがきれいに伸びます。
足袋
 つま先汚れは 洗剤を歯ブラシに付けてこすると落ちやすいです。
草履
 裏の湿気を取るために しばらくは立てて陰干しし、汚れを取ります。
 下駄箱にしまうときは割り箸などの上にのせ 裏の通気性をよくしておきましょう。


「虫干し」
きものや帯の湿気を払い、害虫を除き、シミ等の点検をするために 昔から行われてきたお手入れ方です。
空気の乾燥している1月、梅雨明け後の8月、秋から冬の10月が 虫干しに適した時期です。虫干しは晴天が
2~3日続き 空気の乾燥した日に行います。 風通しが良く 日の当たらない場所にきものや帯を裏返して掛けます。
午前中から干し、夕方の湿気に当てないように午後3時頃には たたみましょう。
現在の住居は気密性が高いので ガスによる変色を防ぐために 年に一度は「虫干し」をいたしましょう。

きもののトラブルは「除湿」と「防虫」でほぼ解消されます。
桐以外の箪笥やクローゼットでは、うこん染めの「衣装つつみ」や「除湿シート」を
ご使用になるとよいでしょう。

高価なものやお気に入りのものは、水や汚れをはじく「ガード加工」をしておくと安心です。

着用後の少しのお手入れと年に一度の虫干しで 大切なきものがいつまでもきれいに着て頂けます。
とはいえ、絹は化学繊維とちがい 生きた自然素材です。経年変化は避けられません。
変色、しみなどが出た場合は 呉服店にご相談されることをお勧めいたします
     
 
2012-01-26 14:17:16

第4回  成人式

カテゴリ : 通過儀礼と装い

二十歳のお子様のいらしゃるご家庭では、
そろそろ成人式のご準備を始められる頃でしょうか。
第4回はまた通過儀礼のお話に戻って成人式のお話をいたしましょう。

現代の成人式は大人としての新たな門出を祝う儀式ですが、
古くは奈良時代に始まった男子の「元服」(げんぷく)、
平安時代より始まった女子の「裳着」(もぎ)のと言われる儀式が
元となっています。
元服、裳着共に大人の正装を身に着けた新成人のお披露目が盛大に
なされたそうです。

日常きものを着る機会が少なくなっておりますが、
成人式は若い方が日本の民族衣装であるきものにふれる
よい機会でしょう。

女子は未婚女性の第一礼装として振袖を着ます。
以前は中振袖も着られておりましたが、
最近は大振袖(本振袖)が主流です。
帯は丸帯や袋帯を変わり結びにむすびます。
立て矢、ふくら雀、文庫などが振袖に向く結び方です。
最近は着付けをプロに頼まれる方が多く、これらの結び方を
アレンジし、飾り紐を付けて華やかに結ばれています。
振袖を装うときは、重ね衿を用い、帯揚げ、帯締めも様々な形に結び、
格調高く華やかに、そして可愛らしく着付けましょう。

男子の第一礼装は黒紋付きに縦縞の袴で、最もフォーマルな装いです。
最近は成人式で色物の羽織袴もよく見られます。

成人式では、紋付き、振袖共に若者らしく現代風にアレンジした
装いの方もあり、きものを楽しまれているようです。

男子は凛々しい姿に、女子は美しい振袖をまとった華やかな姿に
大人になった喜びを感じ、大人としての自信と夢を持って
未来に羽ばたいてほしいですね。




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2011-11-30 12:42:44

第3回 基本の装い

カテゴリ : きものの基本
おしゃれ講座1,2回では儀礼の装いのお話をしました。
第3回は、和装のおしゃれを楽しむための基本的な知識として、
きものの種類とTPOのお話をいたしましょう。

お洋服にフォーマルとカジュアルがあるようにきものにも式服と普段着があります。
本日は、きものの種類と装う場面をご紹介いたします。

*小紋 
いろいろな模様を一方方向に型染めしたきものを「小紋」とよびます。
小紋という名から小さな柄のきものと思いがちですが、
柄の大きさにかかわらず、型染め繰り返しの柄は小紋です。
{おでかけ}
柄の華やかさや帯の格によってやや改まったお席、
観劇やお食事会などのお出かけ、お茶、踊りのお稽古と様々なシーンで。

*紬・御召・木綿
真綿糸や玉糸などを先染め、平織にした絹織物を「紬」とよびます。
柄は絣、縞、格子が主です。全国各地で織られており、産地により独特の風合いがあります。
きもののカジュアルの代表ですが、結城、大島、牛首など高価なものもあります。

徳川将軍が好んでお召しになっていたことから名が付いた高級絹織物を「御召」とよびます。
御召は織り方に高度な技術を要し、京都、新潟、山形で織られています。

木綿糸で織られた織物が「木綿」です。
各地に様々な綿織物があります。
木綿の代表は、久留米で織られる久留米絣でしょう。
藍染めに白絣が中心ですが、縞や格子などデザインによって様々な雰囲気が楽しめます。
{おでかけ}
お友達とのお食事やショッピングなど。

*色無地
地紋のある縮緬や紋綸子などの素材を黒以外で一色染めにした無地のきものを
「色無地」とよびます。
同色の裾ぼかしも色無地です。
江戸小紋も色無地で同じ扱いでよいでしょう。
一つ紋を入れて略礼服として装えます。
{おでかけ}
袋帯を合わせて記念式典やお茶席、入学卒業など学校行事に。
黒名古屋帯を合わせて通夜、法事に。
おしゃれな帯を合わせてコンサート、お茶会など、
紋なしなら小紋と同じようにコーディネートを楽しんで。

*訪問着・付下げ
肩、胸、袖、裾に模様がつながるように染めたきものを「訪問着」
肩、袖、前身頃、後身頃に上向きに模様が染められているきものを「付下げ」とよびます。
柄は様々で、格調高い古典柄からモダンで華やかなものまであります。
生地は一越縮緬、紋意匠縮緬、絽、最近は紬を染めたものもあります。
訪問着、付下げとも柄の雰囲気によってお召しになるシーンが変わります。
一般に古典、伝統柄は改まったお席に、モダンな柄や大胆なデザインはパーティーに、
紬地や織り絵羽の訪問着は高級なおしゃれ着として装えます。
{おでかけ}
入学、卒業式、記念式典、お宮参りや七五三などのお式。
初釜、披露宴、レセプション、パーティーなどのおよばれに。
観劇やホテルなどのお食事会に。

*振袖
未婚女性の礼装・正装用の袖丈の長いきものを「振袖」とよびます。
そでの長さによって
大振袖 115cm以上
中振袖 95~115cmくらい
小振袖 85~95cmくらい
とよびます。
古典模様からモダンな模様までありますが、いずれも友禅や絞りの染めに金箔などを施した
華やかなきものです。
お嬢様のフォーマルな装いとして重ね襟、太組の帯締め、ボリュームのある帯揚げを使い
帯も華やかに結びましょう。
{おでかけ}
成人式、披露宴、パーティ、謝恩会、お見合い、結納式、初詣などに。

*留袖
黒地に五つ紋を付けた絵羽裾模様のきものを黒留袖とよびます。
既婚女性の第一礼装です。
喜びを重ねるという意味で、白羽二重のきものを重ねて着るものですが、
現代は簡略化した比翼仕立てにしています。
黒以外の絵羽裾模様は色留袖とよび、既婚、未婚女性の礼・正装です。
紋の数によって格が変わります。(第1回参照)
{お出かけ}
黒 結婚式
色 結婚式、披露宴などのフォーマルなお席に。

*喪服
喪服は、黒無地に五つ紋を入れたものが喪の第一礼装です。
色喪服は、紫・グレー・紺などの寒色のきものに一つ紋を入れます。
どちらも半襟、足袋以外は小物もすべて黒で装います。
{おでかけ}
告別式(黒)
通夜、法事(色)









2011-11-04 13:38:51

第2回 七五三

カテゴリ : 通過儀礼と装い
秋も深まってまいりました。
おしゃれ講座第1回では、季節柄婚礼のお話をいたしました。
第2回はお子様が主役の七五三のお話をいたしましょう。

七五三は、お宮参りとならんで子供の成長のお祝いの代表でしょう。
古くは平安時代からの習わしです。
男児は三歳と五歳、女児は三歳と七歳に成長の感謝と幸運を祈って晴れ着で神社にお参りします。
本来11月15日とされていますが、最近は11月初めから12月上旬の休日にお参りされる方が多いようです。

衣装は、男女とも三歳ではお宮参りに着た一つ身の産着のお袖を袋に縫い、身上げをしてきます。
男児はその上に袴を、女児は被布甚平か帯付きで着せます。
男児五歳では、三つ身の五つ紋の羽織袴。
女児では、四つ身の晴れ着に帯付きで。

三歳では、まだまだ小さいので楽に着せてあげましょう。
五歳、七歳は大人の正装と同じなので、小さな紳士、淑女でかっこよく決めてあげてください。
お子様の晴れ姿からも健やかな成長の様子をお楽しみください。

ご家族の装いとしては、一つ紋の色無地や、訪問着、付下げに金銀糸を使った格調ある袋帯を
あわせて上品なコーディネートをおすすめいたします。
七五三
2011-10-13 13:59:58

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